2015年7月12日日曜日

CO2レーザーの研究紹介

本研究室のCO2レーザーの研究としては,主に,放電によるレーザーパルス波形の制御とレーザーパルス波形に依存するレーザー加工特性の調査を行っています.

我々が開発したCO2レーザーを紹介します.
大きな特徴は,レーザーパルス波形の制御と円形・高品質ビーム,シンプルな装置構成です.

「レーザーパルス波形の制御」
軸方向放電励起CO2レーザーで一般的な長パルス(半値幅:数十μsから数ms),TEA-CO2レーザーのようなテール付き短パルス(尖頭パルス幅:約100 ns,パルステール長:数μsから数十μs),QスイッチCO2レーザーのようなテールフリー短パルス(半値幅:約100 ns)を,1台のレーザー装置から出力します.長パルスにおけるレーザーパルス幅やテール付き短パルスのパルステールエネルギーが制御可能です.
尖頭パルスの拡大図
レーザーパルスの全体図

「円形・高品質ビーム」
円形の高品質なレーザービームが出力可能です.ガウシアンビームやドーナツ型ビーム,トップハットビームを出力します.
ガウシアンビーム
トップハット型ビーム

「シンプルな装置構成」
我々の一般的なCO2レーザー装置は,長さ50 cmから70 cmのレーザー管とスパークギャップ,500 pFから2000 pF程度の充電コンデンサ,高電圧パルス電源(ロシア型パルス電源とトランス)で構成されます.
CO2レーザー,レーザー管の長さ55 cm

出力エネルギーは,レーザーパルス波形によって異なります.これまでに論文や学会で報告したエネルギーとしては,長パルスで200 mJ程度,テール付き短パルスで100 mJ程度,テールフリー短パルスで20 mJ程度となります.

我々は,開発したCO2レーザーを用いて,様々なガラスのクラックレス・マーキングや合成石英ガラスの切削,歯科応用を目指した象牙のきれいな切削を実現しています.加工応用については,後日,ご紹介します.

CO2レーザーの研究は,精電舎電子工業株式会社と製品化を目指した共同研究を行っています.2015年8月末に製品発表予定です.山梨大学医学部歯科口腔外科と形成外科と医療応用について研究を行っています.東海大学理学部物理学科の遠藤雅守教授と軸対称偏光CO2レーザーの開発とCFRP加工について,近畿大学理工学部電気電子工学科の中野人志教授と軸方向放電励起気体レーザーの固体電源の開発を行っています.

発表論文
1) K. Uno, et al., "Glass drilling by longitudinally excited CO2 laser with short laser pulse", Proc. SPIE, 9350, 9350E (2015).
2) K. Uno, et al., "Short-pulse CO2 laser with longitudinal tandem discharge tube", Rev. Sci. Instrum. 85, 103111 (2014).
3) K. Uno, et al., "Longitudinally excited CO2 laser with tail-free short pulse", Proc. SPIE, 9266, 9266U (2015).
4) K. Uno, et al., "Fast Discharge Circuit for Longitudinally Excited CO2 Laser", J. Infrared, Milli. Terahz. Waves, 34, 217-224 (2013).
5) K. Uno, et al., "Relation between Discharge Length and Laser Pulse Characteristics in Longitudinally Excited CO2 Laser", J. Infrared, Milli. Terahz. Waves, 34, 225-230 (2013).
など.

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